子供に多い! マイコプラズマ肺炎急増
国立感染症研究所の報告によると、8月4日までの1週間で全国約500の医療機関から報告された「マイコプラズマ肺炎」の患者は、1医療機関あたり0.95人で5週連続増加。統計開始以降最多だった2016年以来、8年ぶりの高い水準となっているとのこと。
今回はマイコプラズマ肺炎について書いていきたいと思います。
マイコプラズマ肺炎の特徴
コロナ感染症やインフルエンザはウィルスが原因であるのに対し、マイコプラズマ肺炎は細菌が原因の病気となりますので、抗菌剤(抗生物質)が治療に有効です。
好発年齢は6~12歳の小児であり、小児では発生頻度の高い感染症の一つですが成人でも罹患します。潜伏期は2~3週間、頑固な咳嗽と発熱を主症状に発病し、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発する症例も報告されています。
症状
発熱や全身倦怠感(だるさ)、頭痛、痰を伴わない咳などの症状がみられます。 咳は発熱から少し遅れて始まることが多く、 咳は熱が下がった後も長期にわたって(3~4週間)続くのが特徴です。 多くの人はマイコプラズマに感染しても気管支炎ですみ、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となり、重症化することもあります。
合併症
昔から「異型肺炎」として、肺炎にしては元気で一般状態も悪くないことが特徴であるとされてきましたが、重症肺炎となることもあり、胸水貯留は珍しいものではないです。 他に合併症としては、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など多彩なものが含まれます。
治療
抗菌薬による化学療法が基本で、ペニシリン系やセフェム系などは効果がなく、マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系薬剤が用いられる。一般的には、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどが処方されますが、学童期以降ではミノサイクリンも使用されることがあります。また、咳がひどい場合は咳止め、熱が高い場合は解熱剤が処方されます。
予防
手洗い、うがいなどの一般的な予防方法と患者との濃厚な接触を避けること。
学校はいつから行っていいの?
学校保健安全法で「第三種学校伝染病」に指定されており、「急性期は出席停止、全身状態が良ければ登校可能」とされています。また、厚生労働省の感染症対策ガイドラインでは、登園・登校目安を「発熱や激しい咳が治まっていること」となっており、平均的には1週間程度で症状が軽快することが多いです。
参考:国立感染研究所・厚生労働省HP